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ワイパーを使わずに吹雪の北海道を突っ走る

入社後に迎えた初めての冬、私はすでに普通免許を取得していたので、会社ではすぐに道内を車で出張に出るようになりました。
真冬の2月、ある先輩とたまたま同行する事になったのです。帰り道だったと記憶しています。夜になり大雪が降ってきました。
私は、当然ながら車のヒーターをウィンドウの方へ切り替え、更にワイパーを作動させました。最初は良かったのですが、次第にワイパーに氷がくっついて、左右に動くだけで、視界がよく見えなくなってきました。
すると先輩は予想していたみたいで、「俺たちは、こんな走り方はしないんだよ」と言いました。車を止めてといわれ、「さあ準備するぞ」と、まずエンジンを切り、外に出ました。ひどい吹雪です。どうなるんだろうと思いました。
先輩はまず、凍りで太くなってしまったワイパーをきれいにしました。次にフロントガラスに付着している氷のかけらをすべて取り除きました。「そろそろ冷えたかな?」。えっ何がですか?先輩はエンジンが止まってフロントガラが、外気温と同じになるまで待っていたのです。次は車内に入り、ジャンパーは着ているようにと、それからタオルを細長くたたんで”温風”の出る穴をふさぎました。次はヒーターの温度を出来るだけ下げるというのです。だからジャンパーを着よと言ったんだと分かりました。
温風は更にガラス側ではなく、足元へ当たるように切り換えました。「よし、言ってみよう」と掛け声が、でも準備中にフロントガラスに雪がいっぱい積もりスタートできません。「いいからスタートだ」とまるで目隠し運転でスタート、と、突然ガラスの雪がフワーッと左右にカーテンが開くように飛び散っていきました。
凄い、吹雪に勝ってるな!と今度は運転にこの裏技を使っての真冬の走行が楽しく思えました。

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この記事を書いた人

メーカー退職後、G-SHOCK修理専門店の店長

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